小児矯正はいつから始める?ベストな開始時期や大人の矯正との違いも
- 5月29日
- 読了時間: 10分
医療コラム執筆者
成田 宗隆(大宮区役所前歯科 院長)
<この記事を監修した人>
大宮区役所前歯科 院長。「痛いから削る・抜く」という治療を繰り返していては歯がなくなってしまうという危機感から、予防歯科こそが歯科医師の役目であるという強い信念を持ち、患者さまが一生自分の歯で食事をすることができるように、極力削らず抜かずに今の状態を維持できるようサポートすることを目標としています。日本歯周病学会認定医、日本口腔インプラント学会専修医、日本抗加齢医学会専門医といった多岐にわたる専門資格を保有し、虫歯治療、歯周病治療、インプラント、予防歯科から全身の健康まで高い専門知識を持っています。患者さまの生涯に渡るお口の健康維持に関する信頼性の高い情報を提供できるように努めます。
子どもの歯並びが気になり、「小児矯正はいつから始めればいいの?」と疑問に思う保護者の方は多いのではないでしょうか。
小児矯正は、大人の矯正とは目的や治療方法が異なり、顎の成長を利用して歯並びやかみ合わせを整えていく治療です。
一般的には、永久歯が生え始める6〜7歳頃が相談の目安とされています。ただし、歯並びや顎の発育には個人差があるため、気になる場合は早めに歯科医院で診てもらうことが大切です。
この記事では、小児矯正を始めるタイミングや治療の目的、大人の矯正との違いについてわかりやすく解説します。

小児矯正の目的と大人の矯正の違い
小児矯正の主な目的は、成長途中にある顎の発育をコントロールし、将来きれいな歯並びや正しいかみ合わせになりやすい環境を整えることです。
子どもの時期は顎の骨が成長段階にあるため、顎の大きさやバランスを整えながら歯が並ぶスペースを確保することができます。一方、大人の矯正は顎の成長が終わっているため、基本的には歯を動かして歯並びを整える治療が中心になります。
そのため、小児矯正は将来の歯並びを整えやすくしたり、抜歯の可能性を減らしたりすることを目的として行われる点が大きな違いです。
小児矯正はいつから始めるべき?
小児矯正を始めるタイミングの目安は、永久歯が生え始める6〜7歳頃といわれています。
この時期は乳歯と永久歯が混在する「混合歯列期」と呼ばれ、顎の成長を利用しながら歯が並ぶスペースを整えたり、かみ合わせを誘導したりしやすい時期です。
ただし、子どもの歯並びや顎の発育には個人差があり、受け口や顎のずれなどはより早い段階での対応が望ましい場合もあります。
そのため、歯並びが気になった時点で一度歯科医院で相談し、適切なタイミングを確認することが大切です。
小児矯正にはⅠ期・Ⅱ期治療がある
Ⅰ期治療
小児矯正のⅠ期治療は、主に6〜12歳頃の「混合歯列期」に行われる治療です。
乳歯と永久歯が混在するこの時期は顎の骨がまだ成長途中にあるため、その成長を利用して歯並びやかみ合わせの土台を整えることが大きな目的となります。
具体的には、顎の幅を広げて永久歯が並ぶためのスペースを確保したり、上下の顎のバランスを整えたり、前歯のかみ合わせを改善したりします。また、指しゃぶりや口呼吸、舌の癖など歯並びに影響する習慣の改善を行うこともあります。
Ⅰ期治療は歯を細かく並べる治療というよりも、将来きれいな歯並びになりやすい環境を整える「基礎づくり」の役割を担う治療です。
早い段階で顎の発育をコントロールすることで、永久歯が生えそろった後の矯正治療がスムーズになったり、抜歯の可能性を減らしたりできる場合もあります。
Ⅱ期治療
Ⅱ期治療は、永久歯がほぼ生えそろう12歳頃以降に行う矯正治療で、歯を一本一本動かして最終的な歯並びとかみ合わせを整えることを目的としています。
Ⅰ期治療が顎の成長を利用して土台を整える治療であるのに対し、Ⅱ期治療ではワイヤー矯正やマウスピース型矯正装置などを使用し、歯の位置や角度を細かく調整して理想的な歯列へと仕上げていきます。
歯並びだけでなく、上下の歯のかみ合わせや見た目のバランスも考慮しながら治療を進めるのが特徴です。
Ⅰ期治療を行っている場合は、歯が並ぶスペースが確保されているため、Ⅱ期治療の負担が軽減されたり、治療期間が短くなることもあります。一方で、Ⅰ期治療を受けていない場合でも、Ⅱ期治療から矯正を開始することは可能です。
Ⅱ期治療は大人の矯正治療と基本的な方法は似ていますが、成長の影響を考慮しながら歯並びを整える点が特徴です。
小児矯正をするメリット
将来的に抜歯を回避できる可能性がある
小児矯正では、顎の成長を利用して歯が並ぶためのスペースを確保できるため、将来的に抜歯を回避できる可能性があります。
歯並びが悪くなる大きな原因の一つは、顎の大きさに対して歯が並ぶスペースが不足していることです。
成長期のうちに顎の幅を広げたりバランスを整えたりすることで、永久歯が自然に並びやすい環境を整えることができます。その結果、大人になってから矯正を行う際に抜歯が必要になるリスクを軽減できる場合があります。
ただし、すべてのケースで抜歯を避けられるわけではなく、歯並びや顎の状態によって判断されます。
歯が動きやすい
小児矯正の大きなメリットの一つは、歯や顎の骨が柔らかく成長途中であるため、歯が動きやすい点です。
子どもの骨は新陳代謝が活発で、矯正装置による力に対してスムーズに反応しやすい特徴があります。そのため、比較的弱い力でも効率よく歯を動かすことができ、身体への負担を抑えながら治療を進めやすくなります。
また、顎の成長をコントロールできる点も大人の矯正にはないメリットです。
こうした特徴により、無理のない範囲で歯並びやかみ合わせを改善できる可能性が高まります。
永久歯がきれいに並びやすくなる
小児矯正では、永久歯が生えそろう前の段階で歯並びの土台を整えるため、将来的に永久歯がきれいに並びやすくなります。
顎のスペースが不足している状態のまま永久歯が生えてくると、歯が重なったりねじれたりする原因になりますが、あらかじめスペースを確保しておくことで、自然に整った歯列へと導くことが可能です。
また、かみ合わせのバランスも早期に整えることで、見た目だけでなく機能面の改善にもつながります。
結果として、後の本格矯正が必要になった場合でも、治療がスムーズに進みやすくなります。
治療費を抑えられる
小児矯正を早い段階から行うことで、将来的な治療の負担が軽減され、結果的に治療費を抑えられる可能性があります。
Ⅰ期治療で顎の成長をコントロールし、歯が並ぶスペースを確保しておくことで、Ⅱ期治療が不要になったり、行う場合でも期間が短くなることがあります。これにより、装置の使用期間や通院回数が減り、全体的な費用負担の軽減につながるケースもあります。
ただし、症例によってはⅠ期とⅡ期の両方が必要になることもあるため、費用については事前に歯科医院でしっかり確認することが大切です。
小児矯正が必要な歯並び
出っ歯
出っ歯は、上の前歯が前方に突出している状態で、見た目だけでなく口が閉じにくい、口呼吸になりやすいなどの問題を引き起こすことがあります。また、転倒時に前歯をぶつけやすく、外傷のリスクが高まる点も注意が必要です。
原因としては、上顎の過成長や下顎の成長不足、指しゃぶりや舌の癖などが関与することがあります。
小児期に矯正を行うことで顎の成長バランスを整え、前歯の突出を改善しやすくなります。
受け口
受け口は、下の歯が上の歯より前に出ているかみ合わせの状態です。見た目の問題だけでなく、食べ物をうまく噛めない、発音に影響が出るなど機能面にも支障をきたすことがあります。
原因は下顎の過成長や上顎の成長不足などが考えられ、成長とともに悪化するケースもあります。
小児期の早い段階で治療を開始することで、顎の成長をコントロールし、改善しやすいとされています。
叢生
叢生とは、歯が重なり合ってデコボコに生えている状態を指し、いわゆる乱ぐい歯や八重歯もこれに含まれます。
顎の大きさに対して歯が大きい、または顎が小さいことが主な原因で、歯が並ぶスペースが不足していることが多いです。歯ブラシが届きにくくなるため、むし歯や歯周病のリスクが高まる点も問題です。
小児矯正で顎の幅を広げることで、永久歯が整って並びやすい環境をつくることができます。
過蓋咬合
過蓋咬合は、上の前歯が下の前歯を深く覆いすぎているかみ合わせの状態です。
かみ合わせが深いため、下の前歯が上の歯ぐきに当たって傷つけてしまうことや、顎の動きが制限されることがあります。また、顎関節に負担がかかりやすい点も注意が必要です。
成長期に適切な治療を行うことで、かみ合わせの深さを改善し、顎や歯への負担を軽減することが期待できます。
開咬
開咬は、奥歯で噛んだときに前歯がかみ合わず、上下の前歯の間にすき間ができる状態です。前歯で食べ物をかみ切ることが難しく、発音にも影響が出る場合があります。
原因としては、指しゃぶりや舌で前歯を押す癖、口呼吸などが挙げられます。これらの癖が長く続くと症状が悪化するため、早期の対応が重要です。
小児矯正では、原因となる習慣の改善とともにかみ合わせを整えていきます。
小児矯正にかかる期間
小児矯正にかかる期間は、Ⅰ期治療とⅡ期治療、さらに保定期間を含めて数年単位になることが一般的です。
Ⅰ期治療は6〜12歳頃の成長期に行われ、1〜3年程度かけて顎の発育や歯並びの土台を整えます。その後、永久歯が生えそろってから必要に応じてⅡ期治療を行い、さらに1〜2年ほどかけて歯を細かく整えます。
治療後は後戻りを防ぐための保定期間が重要で、数年にわたり装置を使用する場合もあります。
全体の期間は歯並びや成長の個人差によって大きく異なります。
小児矯正にかかる費用
小児矯正の費用は、治療の段階や装置の種類によって異なります。一般的な目安は以下の通りです。
矯正の種類 | 費用目安 |
Ⅰ期治療 (拡大装置・床矯正、インビザラインファーストなど) | 約50〜60万円 |
Ⅱ期治療 (ワイヤー矯正、インビザライン) | 約50~100万円 |
Ⅰ期治療のみで終了する場合は費用を抑えられることがありますが、Ⅱ期治療が必要になるケースもあります。
また、検査料や調整料、保定装置代が別途かかる場合もあるため、事前に総額を確認することが大切です。
分割払いや医療費控除の対象となる場合もあるため、費用面についても歯科医院でしっかり相談しておきましょう。
小児矯正はいつから始めるべきなのか悩んでいる方は、さいたま市大宮区の大宮区役所前歯科にご相談ください
小児矯正をいつから始めるべきかは、お子さまの歯並びや顎の成長によって適切なタイミングが異なります。
「まだ早いかも」と様子を見るうちに、より良い治療時期を逃してしまうこともあるため、少しでも気になる場合は早めの相談が大切です。
成長期だからこそできる治療やアプローチも多く、将来の歯並びやかみ合わせに大きく影響します。お子さま一人ひとりに合った最適なタイミングを知るためにも、専門的な診断を受けることをおすすめします。
大宮区役所前歯科では、初回の矯正相談を無料で承っています。またオンライン相談・LINE相談にも対応していますので、遠方やお忙しい方もご自宅からご相談いただけます。LINE・Webからご予約可能です。
小児矯正でお悩みの方は、さいたま市大宮区役所前歯科までお気軽にご相談ください。
