乳歯の歯並びを悪くする癖・原因を解説。治療が必要な歯並びもご紹介
- 1 日前
- 読了時間: 9分
医療コラム執筆者
小林 知輝(大宮区役所前歯科 歯科医師)
<この記事を監修した人>
大阪大学歯学部を卒業後、都内大型医療法人での臨床研修を修了。現在は日本インプラント学会に所属しており、高度な専門知識に基づいた医療情報の発信を目指しています。患者さまの話をしっかり聞くことを第一に考え、歯科治療に不安を持つ方や小さなお子さまに寄り添えるように痛みの少ない治療を心がけています。予防歯科やインビザライン矯正といった患者さまとの協力が必要な長期的な治療計画において、常に丁寧な治療を提供することで信頼に繋がればと思い、日々の診療に取り組んでいます。
子どもの乳歯が生えそろったとき、歯並びの乱れに不安を感じる保護者の方は多いでしょう。「いつか生え変わるから」と放置して良いのか、それとも今のうちに治療を始めるべきなのか判断するのは難しいものです。
乳歯の歯並びは、将来の永久歯の並び方や顎の成長に直結する重要なサインです。
この記事では、乳歯の歯並びが悪くなる原因や放置するリスク、治療が必要なケースと様子見で良いケースの違いについて詳しく解説します。

乳歯の歯並びを悪くする癖・原因
遺伝
歯の大きさや顎のサイズは、親から子へ遺伝する傾向が非常に強いと言われています。
例えば、親が「顎が小さく、歯がガタガタしている(叢生)」や「受け口(反対咬合)」である場合、お子さまも同様の骨格的特徴を引き継ぐ可能性が高まります。
歯を並べる土台となる顎のスペースがもともと不足している遺伝的要因がある場合、乳歯の段階から窮屈そうに生えてきたり、生える向きが乱れたりすることがあります。
指しゃぶりをしている
3歳を過ぎても指しゃぶりの癖が続いている場合は注意が必要です。
指を吸う力によって上の前歯が押し出され、下の前歯が内側に倒れ込むことで「出っ歯」や「開咬(上下の前歯が閉じない状態)」を招く直接的な原因となります。
吸う力が顎の成長にも影響を及ぼし、上顎が狭く高く変形してしまうこともあります。
舌で歯を押す癖がある
無意識に舌で前歯の裏側を強く押したり、上下の歯の間に舌を挟み込んだりする「舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)」も、歯並びに大きな悪影響を与えます。
舌の筋力は意外に強く、継続的に歯に圧力がかかることで、前歯が前方に突き出したり、隙間が開いてしまったりします。これは食べ物を飲み込む際の癖としても定着しやすく、早めの改善が望まれます。
爪や唇を噛む癖がある
爪を噛む癖は、特定の歯に強い負担をかけ、歯を捻じれさせたり、位置をずらしたりする原因になります。また、下唇を噛む癖がある場合は、上の前歯が前方に傾斜しやすく「出っ歯」を助長します。
これらの癖はストレスや習慣から来るものが多いですが、長期間放置すると骨格的な歪みにまで発展する恐れがあります。
よく頬杖をついている
頬杖をつく習慣は、成長期の柔らかい顎の骨に対して、頭の重さによる偏った圧力をかけ続けます。
左右どちらか一方にだけ力がかかり続けることで、顎が横にずれて成長し、噛み合わせが左右非対称になってしまうリスクがあります。
見た目の歪みだけでなく、将来的な顎関節症の原因にもなり得るため、正しい姿勢を保つことが大切です。
柔らかい食べ物ばかり食べている
現代の食生活では、あまり噛まなくても飲み込める柔らかい食べ物が増えています。しかし、しっかり噛むことは顎の骨の成長を促すための重要な刺激です。
咀嚼回数が減り、顎の筋肉や骨が十分に発達しないと、永久歯が生えてくるための十分な「スペース」が確保できず、結果として歯並びが重なり合ってガタガタになってしまいます。
口呼吸をしている
本来の鼻呼吸ではなく、日常的に口で呼吸をしていると、口周りの筋肉のバランスが崩れます。
口が開いたままの状態が続くと、舌の位置が下がり、上顎を内側から広げる力が働きません。その結果、上顎が狭くなり、歯が綺麗に並ぶスペースが失われてしまいます。
また、お口の中が乾燥することで虫歯や歯周病のリスクも高めてしまいます。
乳歯の歯並びが悪いことによる影響
虫歯・歯周病のリスクがある
乳歯の歯並びが重なり合っていたり、ガタガタだったりすると、歯ブラシの毛先が細かい部分まで届きにくくなります。
その結果、歯の隙間に食べかすやプラーク(歯垢)が溜まりやすくなり、虫歯や歯茎の炎症を引き起こすリスクが格段に高まります。
乳歯の虫歯を「どうせ生え変わるから」と軽視してはいけません。乳歯が虫歯で早く抜けてしまうと、後から生えてくる永久歯の誘導役がいなくなり、さらに歯並びが悪化するという悪循環に陥ります。
顎関節症のリスクがある
悪い歯並びによって噛み合わせがずれていると、食べ物を噛む際に顎の関節へ不自然な負担がかかり続けます。
これが長期化すると、顎を動かすときに音が鳴ったり、痛みが出たり、口が開きにくくなったりする「顎関節症」を引き起こす可能性があります。
成長期の顎の関節は非常にデリケートなため、幼少期からの異常な負担は生涯にわたる機能障害につながる恐れがあり、注意が必要です。
永久歯が斜めに生えたり重なったりする可能性がある
乳歯は次に生えてくる永久歯の「ガイド役」としての重要な役割を担っています。
乳歯の段階ですでに隙間がなく、きっちり並びすぎている場合、乳歯よりもひと回り大きい永久歯が生えてきたときにスペースが足りず、斜めに生えたり、本来とは違う場所から飛び出してきたりします。
乳歯の歯並びの問題は、そのまま将来の「叢生(ガタガタの歯並び)」へと引き継がれる可能性が極めて高いのです。
発音・咀嚼がしにくい
歯並びが悪いと、お口が正しく閉じなかったり、舌の動きが制限されたりするため、特定の音(サ行やタ行など)が上手く発音できない「構音障害」の原因になることがあります。
また、噛み合わせが悪いと食べ物をしっかりと細かく噛み砕くことができず、胃腸などの消化器官に負担をかけてしまうこともあります。
正しく噛むことは脳への刺激や全身の筋肉バランスにも関わるため、子どもの健やかな成長を阻害する要因になり得ます。
矯正を検討した方がよい乳歯の歯並び
受け口
下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態です。
これは単なる歯の生え方の問題だけでなく、下顎が発達しすぎている、あるいは上顎の成長が遅れているといった「骨格的」な原因がある場合が多いです。
放置すると下顎の成長が加速し、大人になってからでは手術が必要になるケースもあるため、乳歯のうちから早期治療を検討すべき代表的な歯並びです。
出っ歯
上の前歯が大きく前方に突き出している状態です。
指しゃぶりや口呼吸などの癖が原因であることも多く、見た目のコンプレックスになりやすいだけでなく、転倒した際に前歯を折ったり、唇を傷つけたりするリスクも高まります。
顎の成長バランスを整えることで、将来的な抜歯を回避できる可能性が高まります。
開咬
奥歯で噛んでいても前歯が噛み合わず、上下に隙間が空いている状態です。
麺類などが噛み切れないといった機能的な問題のほか、常に口が開いてしまうため口呼吸を誘発します。
骨格に定着する前に、癖の改善を含めた早期の働きかけが有効です。
叢生
歯が重なり合ってガタガタに生えている状態です。
乳歯の時期に隙間(発育空隙)が全くない場合は、永久歯が収まりきらないことがほぼ確実です。
顎を広げる治療などでスペースを確保し、永久歯を正しい位置に導く準備を整えることが推奨されます。
治療は様子見で問題ない乳歯の歯並び
乳歯の歯並びにおいて、一見不安に見えても「様子見」で良い代表的なケースが「すきっ歯(空隙歯列)」です。
乳歯の間にある適度な隙間は、将来大きな永久歯が並ぶための重要なスペースであり、むしろ「理想的な状態」と言えます。
また、前歯が少し「八の字」に生えている場合も、横の歯が生えてくる圧力を受けて自然にまっすぐ修正されることが多いため、過度な心配はいりません。
ただし、噛み合わせの深さや顎の左右へのずれがある場合は、隙間があっても専門的な判断が必要です。自己判断せず、定期検診でプロのチェックを受けるようにしましょう。
乳歯の歯並びを治療する方法
マウスピース矯正
取り外しが可能な透明なマウスピースを使用し、少しずつ歯を動かしたり、顎の成長をサポートしたりする方法です。
代表的なものに「インビザライン・ファースト」などがあります。食事や歯磨きの際は取り外せるため衛生面で優れており、痛みが少ないのがメリットです。
装着時間を守るという自己管理は必要ですが、見た目を気にせず学校生活を送ることができます。
床矯正
歯の裏側に装着する取り外し式の装置に「ネジ」がついており、それを少しずつ回すことで顎の幅を横に広げていく治療法です。主に、永久歯を並べるためのスペースが不足している場合に用いられます。
顎の成長が活発な時期に行うことで、本来持っている成長する力を最大限に引き出し、将来的な抜歯のリスクを大幅に減らすことが期待できます。
MFT(筋機能療法)
装置を使わずに、お口の周りの筋肉のバランスを整えるトレーニング法です。舌の位置を正しくしたり、唇の力を強めたりすることで、歯に余計な圧力がかからないようにします。
指しゃぶりや舌を出す癖の改善にも有効で、他の矯正治療と併用することで、治療後の後戻りを防ぎ、理想的な歯並びを維持しやすくする効果があります。
ヘッドギア
上顎の成長が強すぎる「出っ歯」の治療などに用いられる、頭や首を固定源にする装置です。主に就寝中や在宅時に装着し、上顎の前方への成長を抑制したり、奥歯を後ろに移動させたりします。
見た目のインパクトはありますが、骨格的なアプローチが必要な場合には非常に効果的で、成人後の大掛かりな手術を回避できる可能性を高めます。
プレオルソ
マウスピース型の矯正装置の一種で、歯並びを直接動かすというよりは、口周りの筋肉を訓練して「噛み合わせ」や「顎の位置」を整えることを目的としています。
柔らかい素材でできているためお子さまでも使いやすく、寝ている間と日中の数時間の装着で効果を発揮します。
受け口や出っ歯など、幅広い噛み合わせのトラブルに初期段階から対応できる優れた装置です。
乳歯の歯並びにお悩みのある方は、さいたま市大宮区の大宮区役所前歯科にご相談ください
お子さまの乳歯の歯並びが気になったとき、治療が必要なのか、成長とともに改善するものなのかを見極めることは非常に重要です。
さいたま市の大宮区役所前歯科では、お子さまの成長を第一に考え、一人ひとりの顎の発育状態に合わせた最適なアドバイスを丁寧に行っています。
当院では初回の矯正相談を無料で承っており、無理に治療を勧めることはありません。オンライン相談やLINEからの簡単な予約にも対応しておりますので、お忙しい保護者の方もお気軽にご活用いただけます。
矯正でお困りの方は、ぜひ大宮区役所前歯科までお問い合わせください。
