子どもが出っ歯になる原因と治す方法を歯科医師が解説。放置するとどうなる?
- 2月25日
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医療コラム執筆者
石田 明日香(大宮区役所前歯科 歯科医師)
<この記事を監修した人>
長崎大学歯学部を卒業後、東京医科歯科大学(現 東京科学大学)で臨床研修を修了。患者さまが抱える治療への不安を深く理解できるようコミュニケーションを最も大切にし、丁寧な治療を心がけています。特に、長期的な協力が必要な矯正治療、予防歯科、小児歯科において、継続的なケアでより良い治療環境を提供できるよう尽力しています。現在は日本インプラント学会および日本在宅医療連合学会に所属し、インプラントやインビザライン矯正など幅広い治療法に高い専門知識を有しています。生涯に渡る健康維持を目指し、患者さまの悩みに応じた適切な解決策を提供します。
お子さまの前歯が前に出てきたように感じ、「このままで大丈夫?」と不安に思う保護者の方は少なくありません。
子どもの出っ歯(上顎前突)は、指しゃぶりや口呼吸、遺伝、顎の成長バランスなど、さまざまな原因が関係します。放置すると歯並びだけでなく、虫歯や歯周病、口腔内の乾燥などのリスクが高まることもあります。
この記事では、子どもが出っ歯になる原因と、年齢や成長段階に応じた治療・矯正方法について歯科医師の視点でわかりやすく解説します。

子どもの出っ歯の原因
子どもの出っ歯は、見た目の問題だけでなく、将来的な噛み合わせや口腔環境にも影響を与えます。原因を正しく知ることで、適切な時期に必要な対応や治療を選ぶことが大切です。
ここでは、先天的要因と後天的要因に分けて解説します。
先天的要因
子どもの出っ歯(上顎前突)は、生まれつきの骨格や歯の大きさ・位置が影響することがあります。
たとえば、上顎が前方に成長しやすい、または下顎の成長が緩やかな場合、上下の顎のバランスが崩れ、前歯が前に出やすくなります。また、歯の大きさに対して顎が小さい場合、歯が並びきらず、前歯が前方へ押し出されることもあります。
これらは遺伝的な影響を受けやすく、血縁関係者に出っ歯の方がいる場合、お子さまにも同様の傾向が見られることがあります。
後天的要因
後天的な要因として多いのが、指しゃぶりや舌で前歯を押す癖、口呼吸などの生活習慣です。特に成長期にこれらの癖が続くと、前歯だけでなく顎にも持続的な力がかかり、徐々に変形起こしたり、歯の軸が前方へ傾いていきます。
また、鼻づまりなどが原因で口呼吸が習慣化すると、お口周りの筋肉が正しく発達せず、歯列や顎の正常な成長を妨げることがあります。
さらに、奥歯の虫歯や早期喪失によって噛み合わせのバランスが崩れることも、出っ歯を助長する要因となります。
こうした後天的要因は、保護者の方が早期に気づき改善することで、進行を防ぐことが可能です。
子どもの出っ歯を放置するリスク
子どもの出っ歯(上顎前突)は「成長すれば自然に治るのでは」と考え、様子見をされることも少なくありません。
しかし、出っ歯が自然に改善するケースは限られており、放置することでお口の健康や日常生活、将来の歯並びにさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。
特に成長期のお子さまは顎や歯列が大きく変化する時期であるため、問題を抱えたまま成長するとリスクが拡大しやすくなります。
ここでは、子どもの出っ歯を治療せずに放置した場合に考えられる主なリスクについて詳しく解説します。
虫歯・歯周病リスクが上がる
前歯が前方に突出していると唇が閉じにくく乾燥しやすいため、唾液の自浄作用が十分に働かず、虫歯や歯ぐきの炎症が起こりやすくなることがあります。
また、出っ歯と一口に言ってもただ前方に飛び出ているだけではなく、重なり合って前に飛び出していることもあります。そのような場合、重なり合っているところには歯ブラシが届きにくく、汚れの除去は非常に難しくなります。
乳歯や生えたばかりの永久歯は歯質が弱いため、出っ歯による清掃不良は将来的な歯の寿命にも影響を与えかねません。
滑舌・発音に影響が出る
前歯は、サ行やタ行などの発音に重要な役割を担っています。出っ歯によって前歯の位置や噛み合わせが不安定になると、舌の動きが制限され、正しい発音がしづらくなることがあります。
特に成長期のお子さまは、発音や言葉の使い方を身につける大切な時期です。
この段階で滑舌の問題があると、周囲からの指摘やからかいをきっかけに、コミュニケーションに消極的になるなど、性格や生活にマイナスの影響を及ぼすことがあります。
食事がしづらくなる
出っ歯を放置すると、上下の前歯がうまく噛み合わず、食べ物を前歯で噛み切りにくくなります。その結果、奥歯に過度な負担がかかり、噛む力のバランスが崩れてしまいます。
噛みにくさから食事に時間がかかったり、丸呑み傾向や、柔らかいものばかりを好むようになることもあります。
噛む回数が減ると、顎の正常な成長が妨げられるだけでなく、消化器官への負担が増えるなど、全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。
口呼吸になりやすくなる
出っ歯の子どもは唇が閉じにくく、無意識のうちに口呼吸になりやすい傾向があります。
口呼吸が習慣化すると、口腔内が乾燥し、細菌が繁殖しやすい環境になります。その結果、虫歯や歯肉炎、口臭のリスクが高まります。
また、口呼吸は舌の正しい位置を乱し、歯並びや顎の成長に悪影響を及ぼすという悪循環を引き起こします。
口呼吸は風邪をひきやすくなる、睡眠の質が低下するといった全身的な問題につながることもあります。
前歯を怪我しやすくなる
前歯が前方に突出していると、転倒やスポーツ時に前歯を強く打ちやすくなります。特に活発に動き回る子どもにとって、前歯の外傷リスクは無視できません。
歯をぶつけて欠けたり折れたりするだけでなく、強い衝撃によって歯の神経がダメージを受けることもあります。
永久歯を怪我してしまうと、その後の治療が長期化したり、将来的に歯の色や寿命に影響が出たりする可能性があります。
出っ歯を早期に改善することは、こうした外傷リスクを減らすことにもつながります。
子どもの出っ歯を治療する方法
子どもの出っ歯(上顎前突)の治療は、成長段階に応じて第一期治療と第二期治療に分けて行われます。顎の成長を活かせる時期に行う第一期治療と、永久歯が生えそろってから行う第二期治療では、目的や装置が異なります。
ここでは、それぞれの治療方法について詳しく解説します。
第一期治療
第一期治療は、主に乳歯と永久歯が混在する時期(おおよそ6〜10歳頃)に行います。
歯を大きく動かすというよりも、顎の成長やお口周りの筋肉のバランスを整え、出っ歯の原因そのものにアプローチする治療です。
床矯正
床矯正は、取り外し可能なプレート型の装置を使って上顎を横に広げ、歯が正しく並ぶスペースを確保する方法です。上顎が狭く前歯が前方に押し出されているケースに適しています。
取り外しが可能な装置のため、装着時間の管理が必要です。顎の成長を利用できるため、将来的に、抜歯のリスクを減らせる可能性があります。
ヘッドギア
ヘッドギアは、上顎の前方への成長を抑えるための装置です。主に上顎の成長が強く、下顎とのバランスの悪さが原因で出っ歯になっている場合に用いられます。
装着時間を守ることが重要で、保護者の方のサポートが治療効果を左右します。
また装置が大掛かりなため、見た目で装着を嫌がるお子さまもいます。お子さまによく理解を促し、確実な使用を確保できることが治療成功への大切なステップです。
急速拡大装置
急速拡大装置は、上顎の骨そのものを広げる固定式の装置です。上顎が極端に狭い場合や、噛み合わせに大きな問題がある場合に使用されます。
短期間で顎を拡大できる一方、装着中の痛みや違和感がやや大きく、また、保護者の方が装置を調整する手間も必要で、管理には注意が必要です。
マイオブレース
マイオブレースは、3歳〜から行えるシリコン製のマウスピース型装置です。歯並びだけでなく、口呼吸や舌の癖などの口腔習癖や口腔周囲筋の機能を改善することを目的とした装置です。
筋肉の使い方や正しい舌の位置を整えることで、出っ歯の根本原因にアプローチします。軽度の出っ歯や、癖が主な原因の場合に効果的です。
インビザライン・ファースト
インビザライン・ファーストは、混合歯列期の子ども向けに設計されたマウスピース型矯正です。透明で目立ちにくく歯にフィットした矯正装置を使用するため違和感や痛みが少なく、見た目や生活への影響を抑えながら治療ができます。
また、取り外しが可能なため、歯磨きも十分に行うことができて衛生面でもメリットが大きいです。
歯並びと顎の成長誘導を同時に行える点が特徴です。装着時間は一日20時間程度と長めで、この装着時間を守ることができるかどうかが鍵となります。
第二期治療
第二期治療は、永久歯が生えそろった後(おおよそ12歳以降)に行う本格的な矯正治療です。
第一期治療で整えた土台をもとに、歯並びや噛み合わせを細かく仕上げていきます。
マウスピース矯正
インビザラインに代表される、薄くて透明なマウスピースを、段階的に交換しながら歯を動かす方法です。見た目が非常に自然で、食事や歯磨きの際に取り外せるので、日常生活に影響が少ないのがメリットです。
コンピュータシミュレーションを使用して、歯並びを細かく設計し、そのゴールに向かって整えることができます。
軽度から中等度の出っ歯に特に適しており、1日22時間前後の装着時間や交換頻度の自己管理が重要になります。
ワイヤー矯正
歯にブラケットとワイヤーを直接装着して歯を動かす、最も一般的な矯正方法です。
歴史も古く、症例数も多いため、幅広い症例に対応でき、重度の出っ歯でも確実な治療効果が期待できます。また、固定式で取り外しができない分、装着時間の管理を行う必要はありません。
一方で、装置が目立ちやすく、凹凸のある矯正装置が歯の表面に固定されるので、丁寧な口腔衛生管理が必要です。
自力で押して直すことはできない
出っ歯を指や手で押せば「自力で治すことができるのでは?」と考える方もいますが、歯や顎の位置は外から力を加えて簡単に動くものではありません。無理に押すことで歯や歯茎を傷つけたり、噛み合わせを悪化させる恐れがあります。
また、歯並びは単に見た目だけの問題ではなく、上下・前後の歯とのバランスや噛み合わせを踏まえて入念に計画された上で整えられるべきものです。子どもの出っ歯は、成長段階に合った適切な矯正治療によって改善することが重要です。
自力でなんとかしようとせず、まずは歯科医院でどのような治療方法があるか相談をしてみましょう。早期に相談を開始することで、治療の選択肢を広げることもできます。
子どもの出っ歯の治療を検討している方は、さいたま市大宮区の大宮区役所前歯科にご相談ください
お子さまの出っ歯は、成長や歯並びの状態に合わせて適切な時期・方法で治療を行うことが大切です。「様子を見ていてよいのか」「今治療が必要なのか」といった不安や疑問は、専門家に相談することで明確になります。
さいたま市大宮区にある大宮区役所前歯科では、小児矯正の経験を踏まえ、お子さま一人ひとりに合った治療方針をご提案しています。
初回の矯正相談は無料で、オンライン相談にも対応しているため、ご自宅からのご相談も可能です。ご予約はLINEから簡単に行えますので、少しでも気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
