小児矯正は医療費控除の対象?還付金額や申請方法を具体的に解説します
- 石田明日香
- 11月26日
- 読了時間: 8分
小児矯正は近年一般的になりつつあり、検討されている方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、気になるのはやはり費用面です。小児矯正は多くの場合自由診療となるため、数十万円と高額になるケースがほとんどです。そこで、少しでも費用負担を軽減するために活用したいのが「医療費控除」という制度です。
この記事では、医療費控除の仕組みや申請方法などを詳しくご紹介します。矯正治療を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

そもそも医療費控除とは
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告をすることで所得税や住民税が軽減される制度です。
自分や家族のために支払った治療費、薬代、通院のための交通費などが対象になります。保険金などで補てんされた分は差し引いて計算します。
控除の対象となるのは、合計所得金額が200万円以上の人は「支払った医療費-保険金などの補てん額-10万円」、200万円未満の人は「所得の5%」を超えた部分です。
申告には、個人事業主の方は毎年の確定申告、会社員の方も年末調整ではなくご自身で確定(還付)申告をする必要があります。医療費控除を受けることで、税金の負担を減らすことができるため、結果的に世帯の支出を抑えることができます。
この制度は健康保険適用の治療費のみならず、一定の条件を満たす自由診療にも適用され、歯科矯正も適用となる場合があります。歯科矯正治療は数十万円単位の治療費になり、基準額をオーバーすることがほとんどですので、この仕組みを活用しない手はありません。
小児矯正は医療費控除の対象となりやすい
小児矯正にも、医療費控除の対象となるケースとならないケースがあります。以下でそれぞれについて詳しくご説明いたします。
医療費控除の対象となるケース
国税庁のホームページでは、歯の治療費に対する医療費控除について、「発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象になります。しかし、同じ歯列矯正でも、容ぼうを美化するための費用は、医療費控除の対象になりません。」(国税庁HP/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1128.htm)とされています。
つまり、「見た目のためではなく、歯科医師によって発育や口腔内の健康のために必要だと診断された医療目的である」ことが、医療費控除適用のポイントです。
小児期に歯並びや骨格成長の不均衡があると、咀嚼機能や発音、虫歯や歯周病、など多くの問題を引き起こす可能性が高まり、健康的な生活を目指す上での大きな問題となります。
小児矯正では見た目の改善目的でなく、歯並びや顎骨の成長を正しくすることで健康的な成長や口腔内の健康維持を目的としたものが多いため医療費控除の対象となりやすいです。
医療費控除の対象とならないケース
小児矯正でも、すべてが医療費控除の対象になるわけではありません。
一般的に、中学生までの矯正治療は「発育段階にある子どもの正常な成長を妨げないように行う不正咬合の治療」とみなされ、医療費控除の対象となる場合が多いです。しかし、高校生以上になると「見た目の改善を目的とした審美的矯正」と判断されることもあり、その場合は控除の対象外となることがあります。
最終的な判断は、歯科医師の診断と、居住地を管轄する税務署が行うため、医療費控除が適用されるか心配な方は治療前に税務署へ確認・相談しておくと安心です。
小児矯正で医療費控除の対象となる費用
小児矯正が医療目的であり、医療費控除の適用になる場合でも、治療にかかるすべての費用が医療費控除の対象となるわけではありません。
以下で対象となる費用、対象とならない費用について具体的にご説明します。申請時に困らないよう、しっかり整理しておきましょう。
医療費控除の対象となる費用
医療費控除の対象となる費用は、主に以下のものになります。
・診断、診察費用
・矯正開始前の検査費用
・矯正装置にかかる費用
・処置、調整費用
・通院時の交通費
(公共交通機関に限ります。バスや電車の利用が難しい場合はタクシーの利用が認められる場合があります。付き添い保護者の交通費も含まれます。)
・矯正治療に伴う抜歯、虫歯治療費
・処方された薬代
デンタルローンやクレジットカードを利用した場合でも医療費控除は利用できますが、分割に伴う手数料は含めることができません。
医療費は、1月1日〜12月31日の1年間に支払ったものが対象です。支払った年ごとにまとめられてしまうので医療費の支払い時期には注意しましょう。
また、申請時には領収書が必要です。診察費用や矯正装置費用のようにわかりやすい費用は、領収書をきちんと保管されている方も多いですが、交通費や薬に関する費用などは見落としがちです。使った額がわかるようにきちんと記録や保管をしておきましょう。
前述の通り、医療費控除を実際に申請する際は、これらに加えて他の病気の治療費や家族の医療費も合算して申請することができます。
医療費控除の対象とならない費用
医療費控除の対象とならないものとしては以下のものがあります。誤って申請してしまわないよう気をつけましょう。
・通院時に使用した自家用車のガソリン代、駐車場代
・サプリメント、歯磨き粉、歯ブラシなど、予防や健康増進、口腔衛生のために使用したものの費用
・クレジットカードやデンタルローン支払いの金利手数料
・診断書費用(申請に必要なければ発行不要です)
医療費控除で戻ってくる金額はどれくらい?
医療費控除によって実際どのくらいの金額が還付されるのか、計算式を交えて具体的な例で説明します。
計算方法
計算式は
控除の対象となる医療費の合計額ー保険金などで補填される金額ー(10万円or5%)=医療費控除額
になります。以下で具体的なケース別に計算例を挙げます。
<ケース1>
世帯総所得(年収とは異なります)500万円、医療費総額50万円、保険金による補填額5万円の場合
この場合の医療費控除における基準額は10万円、所得税率は税率表より20%になります。
医療費控除額の算出→50万円ー5万円ー10万円=35万円
還付金(返ってくるお金)の算出→35万円×0.2=7万円
7万円が医療費控除により還付されることになります。
<ケース2>
世帯総所得160万円、医療費総額30万円、保険金による補填0円の場合
この場合の医療費控除における基準額は総所得の5%、所得税率は5%になります。
基準額の算出→160×0.05=8
医療費控除額の算出→30万円ー0円ー8万円=22万円
還付金(返ってくるお金)の算出→22万円×0.05=1.1万円
1.1万円が医療費控除により還付されることになります。
<所得税率表>
([令和7年4月1日現在法令等]国税庁HP No.2260 所得税の税率 計算方法·計算式/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
※最新情報は国税庁サイトをご確認ください)
小児矯正で医療費控除を申請する方法
医療費控除を申請するには書類や申請の準備が必要です。以下で手順毎に説明します。
必要書類を準備する
まずは必要書類を準備する必要があります。小児矯正の医療費控除における必要書類は以下のとおりです。
・印鑑
・還付金振込先の銀行の通帳
・マイナンバーカードなど本人確認書類
・源泉徴収票
・医療費通知(必須ではない)
・医療費控除の対象となるものの領収書や記録
医療費控除を申請する際、領収書の提出は必要ありませんが、5年間の保存が義務付けられています。申請後に記載事項の間違いがないか提出が求められる場合があります。いつでも確認できるよう保存しておきましょう。
医療費控除の明細書を作成する
書式に則って、使用した医療費を医療費控除明細書に記入していきます。
医療費通知書を添付する場合は
⑴「医療費通知に記載された医療費の額」欄
⑵「⑴のうちその年中に実際に支払った医療費の額」欄
⑶「⑵のうち生命保険や社会保険(高額療養費など)などで補填される金額」欄
を記入します。
医療費通知書以外の明細については、領収書から必要事項のみを記入します。領収書一枚ごとではなく、「医療を受けた方」「病院等」ごとに記入することができます。
⑴「医療を受けたものの氏名」欄
⑵「病院薬局などの支払い先の名称」欄
⑶「医療費の区分」欄
⑷「支払った医療費の額」欄
⑸「⑷のうち生命保険や社会保険(高額療養費など)などで補填される金額」欄
を記入します。
確定申告書を作成する
次に、確定申告書の第一表、第二表の必要欄に記入し、医療費控除の明細書を添付していきます。記入方法がわからない場合は国税庁ホームページで「医療費控除を受ける方の記載例」を参考にするか、最寄りの税務署に相談するのが良いでしょう。
確定申告時期になると税務署では相談コーナーを設けているところも多く、そこで相談した上で作成するのも安心でしょう。
確定申告書を提出する
確定申告書をご自身のお住まいの管轄税務署に提出します。e-Taxであればスマートフォンもしくはパソコンで全て完結します。手書きの用紙を提出する場合は郵送または税務署に直接持ち込みましょう。
小児矯正を検討している方は、さいたま市大宮区の大宮区役所前歯科にご相談ください
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