中学生の出っ歯は矯正で治せる?矯正方法について歯科医師が解説
医療コラム執筆者
小林 知輝(大宮区役所前歯科 歯科医師)
<この記事を監修した人>
大阪大学歯学部を卒業後、都内大型医療法人での臨床研修を修了。現在は日本インプラント学会に所属しており、高度な専門知識に基づいた医療情報の発信を目指しています。患者さまの話をしっかり聞くことを第一に考え、歯科治療に不安を持つ方や小さなお子さまに寄り添えるように痛みの少ない治療を心がけています。予防歯科やインビザライン矯正といった患者さまとの協力が必要な長期的な治療計画において、常に丁寧な治療を提供することで信頼に繋がればと思い、日々の診療に取り組んでいます。
中学生になり、前歯が出ている「出っ歯(上顎前突)」が気になって笑顔に自信が持てないというお子さまは少なくありません。思春期特有のコンプレックスを解消するためにも、早めの歯列矯正がおすすめです。
中学生の時期は、まだ成長段階にあるため、大人になってから治療を始めるよりも多くのメリットがあります。
今回は中学生の出っ歯を治す4つの矯正方法や費用、治療に伴うメリットと注意点を詳しく解説します。

中学生の出っ歯を治す矯正方法
中学生の出っ歯(上顎前突)を改善する矯正治療は、全ての歯が永久歯に生え変わった「二期治療(本格矯正)」に該当します。
治療方針や期間、費用は使用する装置の種類によって異なります。中学生の日常生活や部活動への影響、見た目へのこだわりなどを考慮しながら、最適な方法を選択することが大切です。
ここでは、代表的な4つの矯正方法と費用の相場について詳しく解説します。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は、透明なプラスチック製のカスタムトレーを段階的に交換しながら歯を動かす治療方法です。費用の相場は約70万〜100万円です。
最大のメリットは「見た目に響かない」という点です。透明なので学校生活で周囲に気づかれる心配がほぼありません。
また、食事や毎日の歯磨き(デンタルケア)の際には自分で取り外しができるため、装置の間に食べ物が挟まるストレスがなく、お口の中を衛生的に保ちやすいのも中学生にとって嬉しいポイントです。
ただし、1日20時間以上という装着ルールを自己管理で守る必要があります。装着時間が足りないと計画通りに歯が移動しないというリスクはあります。
ワイヤー矯正(表側矯正)
ワイヤー矯正(表側矯正)は、歯の表面にブラケットと呼ばれる装置を貼り付け、そこに金属製のワイヤーを通して歯を段階的に移動させる最も一般的な方法です。費用の相場は約60万〜90万円です。
どのような症例や重度の出っ歯にも幅広く対応できる適応力の高さが最大の強みであり、計画通りに歯をコントロールしやすいのが特徴です。
以前は「ギラギラした金属が目立つ」というデメリットがありましたが、最近では透明なプラスチックや白いセラミック製のブラケット、目立ちにくいホワイトワイヤーなどを選択できるため、見た目の違和感を大幅に軽減できます。
装置は固定式なので、マウスピースのように着脱の手間がなく、医師の治療計画通りに確実な治療を進められます。
ワイヤー矯正(裏側矯正)
ワイヤー矯正(裏側矯正)は、すべての装置を歯の裏側(舌側)に配置する非常に特殊な方法です。費用の相場は約100万〜130万円と高めになります。
装置が完全に隠れるため、お友達とおしゃべりするときや写真を撮るときでも気づかれにくく、見た目をできるだけ気にせず治療したい中学生のお子さまには適した方法です。
ただし、高度な専門技術を要するため費用が高額になる点と、装着初期には舌が装置に当たって発音しにくくなったり(滑舌への影響)、食事の際に強い違和感を覚えたりする可能性がある点には注意が必要です。
それでも、学校で矯正を隠し通したいという強い希望がある場合に最も選ばれる方法の一つです。
ハーフリンガル矯正
ハーフリンガル矯正は、目立ちやすい上顎の歯には「裏側矯正」の装置をつけ、下唇で隠れやすい下顎の歯には「表側矯正」の装置をつける方法です。費用の相場は約80万〜110万円です。
「人目を気にせずに治療したいけれど、費用は少しでも抑えたい」という希望を両立できる非常にスマートな選択肢です。笑ったときに見えるのは上顎の歯だけであることが多いため、この方法でも十分に高い審美性を維持できます。
また、下顎は通常の表側矯正になるため、上下とも裏側にする「フルリンガル矯正」と比べて舌の動きが制限されにくく、滑舌への悪影響や喋りにくさ、口の中の違和感を大幅に軽減できるというメリットもあります。
中学生が矯正で出っ歯を治すメリット
中学生という時期は、まだ身体が大人へと変化している成長の途中にあります。
この時期に歯科矯正を始めることは、単に見た目を改善するだけでなく、大人になってから始める場合と比べて非常に多くのメリットを享受できます。
顎の成長を利用して治療を進められる
中学生はまだ骨格の発育が完全に終わっておらず、上下の顎のバランスをある程度コントロールできるラストチャンスの時期です。
出っ歯の原因には、単に前歯が突き出ているケースだけでなく、下顎の成長が未発達で上顎に対して後ろに引っ込んでいるケースも多く見られます。
中学生であれば、下顎の前方への成長を促すようなアプローチが可能となり、顎の土台から根本的に綺麗な噛み合わせを構築していくことができます。
歯が動きやすく治療をスムーズに進められる
中学生は骨の新陳代謝(リモデリング)が大人よりも比較的活発です。そのため、加えた力に対して歯が反応しやすく、スムーズかつスピーディーに歯が移動します。
大人の矯正治療に比べて、歯が動く際の痛みや違和感も比較的少なく、全体の治療期間を短縮できる傾向にあります。
学校行事や受験勉強などで忙しくなる前に、短期間で効率的に治療を完了させやすいのは大きな強みです。
抜歯せずに治療できる可能性がある
大人になってからの矯正では、突き出た前歯を後ろに引っ込める(後方移動させる)ためのスペースが不足している場合、健康な第一小臼歯を抜く「抜歯」が必要になる症例が多くなります。
しかし、中学生であれば顎の横幅を適度に広げたり、奥歯を後ろへ移動させたりしてスペースを作りやすいため、大切な永久歯を抜かずに非抜歯で綺麗に出っ歯を治せる可能性が大人よりも高まります。
将来的に虫歯・歯周病のリスクを抑えられる
出っ歯の歯並びを放置していると、前歯の部分が乾燥しやすく、唾液によるお口の自浄作用が低下して虫歯や歯周病(歯肉炎)の原因になりやすいです。
また、凸凹した部分は歯磨きがしにくく、どうしてもプラークが溜まりがちです。
中学生のうちに歯列矯正によって正しい噛み合わせと綺麗な歯並びを整えておけば、日常の口腔ケアが非常に楽になり、将来的にわたってお口の健康を維持できるようになります。
中学生が矯正で出っ歯を治す際の注意点
中学生での歯科矯正は多くのメリットがありますが、中学生特有のライフスタイル(学校生活、部活動、受験など)を考慮したいくつかの注意点も存在します。
治療を成功させるために家族で共有しておくべき重要なポイントを解説します。
マウスピース矯正の装着時間を守れるか
マウスピース矯正を導入する場合、1日20時間以上という装着時間を毎日確実に守る必要があります。中学生の生活において、これは大きな自己管理能力が試される課題です。
学校でのランチタイムや、部活動の合間に外したまま、再度つけるのを忘れてしまったり、カバンにしまいっぱなしにして紛失してしまったりするケースが珍しくありません。
しかし中学生は保護者さまと一緒に矯正を進められるため、つけ忘れを予防しやすい時期でもあります。
部活動・学校生活に支障が出ないか
中学校では激しい運動を伴う部活動(バスケットボール、サッカーなどのコンタクトスポーツ)や、吹奏楽部で管楽器を演奏する活動が始まります。
ワイヤー矯正を選択した場合、口元にボールや人がぶつかると、装置によってお口の粘膜を傷つけてしまうリスクがあります。
また、管楽器の演奏では、ワイヤーや裏側装置が舌に当たり、音の出しやすさに影響を及ぼす可能性があります。事前に部活の内容を医師に相談しましょう。
定期的に通院できるか
矯正治療中は、装置の調整や経過観察のために、通常4〜12週間に1回程度の定期的な通院が必要になります。
中学生になると、部活動の練習や大会、塾、定期テスト対策などでスケジュールが非常に過密になりがちです。
通院を怠ると治療計画が大幅に遅れてしまい、思ったような効果が得られなくなる可能性があります。
通いやすい立地にある歯科医院を選ぶなど、無理なく通院を継続できる計画を立てることが重要です。
日頃の口腔ケアを徹底できるか
特にワイヤー矯正の場合、歯の表面に複雑な装置が固定されるため、食べかすが非常に詰まりやすく、普段通りの歯磨きだけでは汚れが落としきれなくなります。
中学生の時期に丁寧な歯磨き習慣を怠ると、矯正治療中に虫歯や歯周病になってしまい、そちらの治療を優先するために一時的に矯正を中断せざるを得なくなるという本末転倒な事態に陥ります。
タフトブラシやデンタルフロスを併用し、丁寧なブラッシングを毎日継続する姿勢が不可欠です。
中学生で出っ歯の矯正を検討している方は、さいたま市大宮区の大宮区役所前歯科にご相談ください
中学生という多感な時期に、出っ歯というコンプレックスを解消してのびのびと学校生活を楽しんでもらうことは、自信に満ちた将来への大きなステップになります。
さいたま市大宮区の「大宮区役所前歯科」では、中学生の忙しいライフスタイルや部活動、ご予算に配慮した最適な矯正プランをご提案いたします。
当院では初回の矯正相談を無料で承っており、患者様一人ひとりのお口の状態をじっくり拝見した上で丁寧にご説明いたします。
またオンライン相談やLINEでのご予約も受け付けております。まずはお気軽にお子さまと一緒にご相談へお越しください。
